燃焼円錐でKissをした

全ての食器から水気が失われて

珈琲の香りも置き去りに

飼い猫の鳴き声、反響

普段より耳に届いた気がした

あれは確か三十分ほど前

それから幾らか立ち尽くして家を出た

髭剃りに失敗した箇所に掌を押し付けては確認をする

その度いつまでも濃い血が見つめて来る

いい加減薄れてくれないか

いつの間にか立ち去って、やがて見つめ返すことだって忘れるくせに

どうして、そんなことを思っているのだろう


雨降りの日に積もる洗濯物

萎びた命のままなんとか息を継いで、風に揺られる風景を描いている

晴れの日を待っている

現実と非現実

フィクションとノンフィクション

比喩と写実とを行き来して

辿り着くのはいかなる未来か

描いた未来か

壊れた大人たちが壊れた子どもたちを生み出して

そう言えば壊れた大人たちも、前は壊れた子どもたちだった


浮世にて立ち尽くすのにはもう飽きた

悲劇は過激さの手を引いて行ってしまった

つまらないそんなもの、嗤い、喰らえ

二度と会えない悲しみには嗤いを

二度と思い出せない詩情には嗤いを

二度と帰らないものには嗤いを

薄まっていく何か横目に、無自覚のうち草臥れた身と心で

勇気などなくても裸足でガラス破片の上を踏み歩くような

真冬に濡れ手さらすような

夢の敗走敗退

笑えない、今日の為に死んでくれ

そいつの名前は、「今」


日中徘徊者を助けて

夜には徘徊者だよ助けて

落陽後の水面は怪しい光を弾いて、眺め吸引力を感じるから、目覚めに首を振った

希望する飲食店は道路を挟んで反対側

信号までの距離を考えて諦める

すれ違う人、追い抜いて行く人の脚の上がり方を観察している

確実に、確実に僕もいつか、漏れなくあの様になるのだ

今踏みしめる一歩に感謝をして

明日には忘れて、またいつか都合よく思ってを繰り返して

少なくとも今だけは有り難いと知らされて

忘れることを覚えていたいから書いている


さっきから、大通りなのにラーメン屋が一つもないな

手向けられた花も、やがて、下を向く

古本屋の店主店内で喫煙

先端が書物に少し触れて笑う、この町のご愛嬌

「可愛いですね」

愛玩動物に向かう言葉

何かに注ぐ愛を愛として、傍から肯定されたら嬉しくなるのが人ならば


この街の一角では、「ごめんなさい」も「いいですよ」も伝えられないスピードで、人と人が出会い別れていく

正確には、出会うよりも前に離れていく


今日二件ゴミ屋敷の掃除をしたよ

目の前でゴミ屋敷とは言わないよ

ヒーロープラモの空き箱

ビニール袋、ペットボトルコレクションコレクション

大事なものは違うね