ひといろ(2017.11.30)

赤黄青と他にも溢れるから
そこは明るい昇降機のなか
ながい、ながいあいだ
あがる、あがるあいだ
誰も、なんにも、話さなかった

ふとこみあげる可笑しさがあって
狭いなか見渡すと
みんな、淡く期待しているような
(なんと美しい光景だろう)
そんな言葉が浮かんでいる

誰かの口角に笑みを見つけて
あれは、「私の笑み」だったのかも知れない
(このまま閉じ込められよう)
また一つ浮かんで
ここにとどまってさえいれば、戦争も、他のどんな争いも起こらない
そんな気がした
だから
(みんなでここに閉じ込められよう)

ゆっくり、ゆっくり
開いていく扉
隙間から、はじめか細いただの一線が、やがて確かな光として射しこんで来る
この世のじかんに見られないような体感、緩やかさで
1mm開くたびに成長痛の、あの懐かしい痛みのような眩さが

Yellow

そもそも開いていくのを止められるはずがなかった
そのことを知る
あちらには歓喜の人たち
みんな、おもいおもいのmovieが観たかった
「未発見の惑星」、「どこにもない夜」、「言語化されたことのない感情」
ともかく非現実のその場所に、駆け出していく人たちの一番さいごに独り残って
(このままここに居ようよう)
行先不明の言葉
昇降機内の天井、側面、四つ角を叩く
よわいよわい微かな力
ノックノック
あれは確かに、Knockだった
気がつくと、淡いBlueが昇降機内を満たしていた

観念して一歩外に出ると、非現実面した現実がオレンジ色をまとって笑っている
楽しそう
待ちわびたその場所で
ここでなら、どんな夢とも戯れられると思われて
思い出しふかく
思い出しふかく
思い出してふかくへ
くだり、くだってゆく

Deep Blue

大切なことを、
ひとつ、
忘れて、

駆けていく、いつかの子どもたちのような無邪気さで
へいわ、へいわは忘れた
へいわ、へいわは忘れた
へいわ、へいわを忘れて
だから、
書いていてこんなに、
痛いはずだった
それすら忘れていた
この瞬間まで

昇って来ていたはずが降りていった
それは、選択だった

ふかくなって
いよいよさいごのひかりが失われる
なんにも見えないせかいにむけて、そのからだで潜ることに決めた
消えないこころひとつ、それだけあればいいだろう