取り返す(2017.12.15)

きみが捨てるなら、余程のことだ
それだけ酷い人間だと評価して
楽しかった思い出も記憶も捨てるのか
忘れたいのか

きみが捨てるなら、余程のことだ
それだけ酷い人間だと評価して
それでどうなったか

昨日居た捨て犬
空になった段ボールにあの部屋を重ねて
広くはない、そこに暮らした時間の温かさ
夜中に言い争ったこと
翌日休んだこと
休んで欲しかったのに、あなただけずるいと酷い言葉を吐き捨てたこと
温かいスープが待っていたこと
湯気がレンズを曇らせたこと
涙が温かったこと

きみが捨てるなら、余程のことだ
それだけ酷い人間だと評価して
楽しかった思い出も記憶も捨てるのか
忘れたいのか

自己否定を続けて
現在ざまあみろと嗤っても
物のない部屋には声がよく響いた
悲しかった
悲しかったと言うまでに時間がかかった

きみが捨てるなら、余程のことだ
それだけ酷い人間だ
きみが捨てるなら、余程のことだ
それだけ酷い人間だ

愛された
それでよかった
愛した
それでよかった

大事なことまで拒絶して
「お前はそれ程の人間だ」と破ったのは、本当はあの時の景色

きみが捨てるなら、余程のことだ
違う
私が捨てたものなんかなかった
私が失ったものは、大きなものだった
それだけ愛情深い人間だと思い直して
楽しかった思い出も記憶も抱きしめた
抱きしめた

あのとき一緒に珈琲を飲んだ
君のレンズだって曇ってた

ああよかった
ああよかった