(21)タイトルはまた後で

上下に頷くその人の瞳が、仄暗いろうそくの光のように左右に揺れるのを見逃さなかった

「踊り場」と聞けば「愛を込めて」と浮かぶコロケーションで
裏腹に味のしない、等分された薄い愛の詰まったおにぎりを掻き込んだ
上下にセンサーを張り巡らして気配のする方からただ逃げる、逃げる
上へ下へ
遭遇時には、ただ一時そこを偶然通りかかったように振舞って
逃げて、逃げて、逃げ帰った事務所で
旅のお土産をいただきました

「ありがとうございます。いつもすみません。」
生活の苦しさを隠すも、容赦なく流入する自己侮蔑の心の声に、せめて流されぬようにしがみついた
吹けば飛ぶような自尊心でもどうしても負けるわけにはいかなかった
さいごに旅行したの、いつだったっけ
お前、いつもお土産もらう側ばかりだな

自分の行い次第でこの人生が終わると考えると、全身のこそばゆさが止まらなくなる
お前にはそれがふさわしいという声が聞こえる
でも、ほんとうに、そんな声、鳴っているのかな